唾液の不足と口腔内への影響

唾液(だ液)が減るとどんな問題が起きるのでしょうか?



だ液は、食べ物を消化して食べカスを洗い流したり、細菌が増えるのを防いでくれます。
口の中の粘膜を守り、清潔に保ってくれます。

だ液が減り、口の中が乾燥してくると、色々な問題が発生します。

夜間、睡眠中は細菌の増殖タイムです。
健康な人でも睡眠中は、だ液が減ります。

そこで、朝起きた時には、だ液の量は激減していて、細菌は増え、口の中がねばねばしています。
そして、体が活動し始めると、だ液を作るだ液腺が刺激され、だ液がたくさん分泌されてきます。

唾液(だ液)の働き


だ液と口臭


唾液(だえき)が少ないと、口臭が強くなります。

だ液が減ると、食べた物を消化する力や抗菌力が下がってしまいます。
すると、口の中に残った食べカスが菌の働きで発酵し、不快な臭気を発生します。

だ液と口腔感染症


また、だ液が減少すると、口の中のさまざまな細菌が繁殖して、虫歯、歯周病など、口の中の感染症に直結していくことになります。

だ液と舌苔


唾液(だえき)が減り、口腔内の水分が不足すると、舌の苔(こけ)が増えやすくなります。
舌苔(ぜったい)が増えると、悪臭が発生します。
揮発性硫黄化合物の発生

熱がある、疲労がたまっているなど体調が悪いときや、お酒を飲んだ翌日なども、口のなかの水分が足りなくなり、舌には苔(こけ)の元になる、細菌や食物残渣がたまりやすくなっていきます。

ドライマウス


口の中が乾燥した状態を"ドライマウス"と呼びます。
ドライマウスは、『口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)』とも呼びます。

ドライマウスはした舌のコケ悪化の一番の敵です。


ドライマウスの予防


ドライマウスの予防としては、規則正しい生活を送り、ストレスを少なくすることが大事です。
精神的な不安状態は、唾液の分泌を妨げます。

睡眠時間は、最低でも6時間を目安にし、自律神経のバランスを整えます。


唾液が減る原因、理由


唾液(だえき)が減少する時の3大原因は、

  1. 自律神経の異常
  2. 薬の副作用
  3. 噛む力の低下(口腔機能の低下)
  4. シェーグレン症候群
  5. 加齢
  6. 煙草(たばこ)

です。

自律神経の異常による唾液の減少


だ液の分泌は自律神経が担っているのですが、この神経は、不規則な生活、不摂生、ストレス、緊張、精神的不安があると、バランスを崩して、体の機能に影響を与えます。
また、女性ホルモンの減少が影響していることも考えられます。


薬剤の副作用


精神安定剤、抗うつ剤、鎮痛剤、降圧剤などの薬の服用は、体中の生理的分泌を抑制する作用があります。

当然、だ液の分泌も抑えられて、口が渇く原因になります。
充分な睡眠をとって体調を整えることが、唾液の分泌にとっても大切です。

噛む力の低下(口腔機能の低下)


現代の食事は、昔に比べ、簡単に食べられ、柔らかい物が増えています。
時間に追われ、忙しい現代人は、ゆっくり食事をする時間も減っています。

食べ物をかむ回数が減ると、唾液腺を刺激する回数も減ります。


シェーグレン症候群


シェーグレン症候群という病気は、膠原(こうげん)病の一種です。

自分の免疫細胞の攻撃によって、唾液腺や涙(るい)腺がダメージを受け、そのために、唾液や涙の分泌量が減少します。

口の中が乾く、ドライマウスや、眼が乾くドライアイという症状が特徴です。



煙草(たばこ)・お酒(アルコール)・カフェイン飲料


タバコの成分であるニコチンは、末梢(まっしょう)血管を収縮させる作用がありますので、だ液腺の活動を抑え、だ液の分泌を減少させます。さらに、タバコのニオイは口臭に直結します。

お酒は、カフェイン入りの飲料と同じで強い利尿作用がありますから、体から水分を失ってしまいます。
コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェインやポリフェノールなどが入った飲み物も、一度にた量摂取することは避けてください。
利尿作用があるので、せっかくとった水分が、だ液分泌にまわらず、尿になって出てしまいます。

唾液の増やし方



  • 自律神経を整えること
    規則正しい生活を送り、ストレスを解消してゆったりとした時間を持ち、睡眠時間は6時間以上をキープすること
  • こまめに水分補給をすること
    一度に多量の水分を取っても、体内に吸収されず、尿や汗となり、身体の外に出てしまいます。
  • 唾液(だえき)の分泌を促しそうな食べ物を取ること
    梅干しやレモン、酢の物など酸っぱくて積極的に摂ること
  • 顎(あご)の運動をすること
    あごを上下左右に動かしたり、ガムをかむことで、だ液の分泌を促します。