舌苔に住む細菌たち


舌苔・歯垢・歯周ポケットは細菌受け渡しのトライアングルです


舌苔・歯垢・歯周ポケットは唾液を介して、相互に影響しあいます。

つまり、 舌苔に住む細菌は、唾液を介して歯垢や歯周ポケットに細菌を供給するのです。
舌をいつも綺麗に掃除していると、歯への歯垢の付着は減少することが、確認されています。

また、反対に、歯周ポケットや歯垢の微生物が舌苔に吸着することも確認されており、舌苔と歯垢、歯周ポケットは微生物に関して、相互に渡し、渡される関係なのです。

歯周病治療~本当は怖い歯周病のお話

舌苔には歯周病の原因細菌がたくさんいます


歯周病の原因となる細菌は約20種類ありますが、その中でも、特に影響力の強い細菌は、3種類です。

red complex(レッドコンプレックス)と呼ばれています。

  1. タネレラ・フォーサイシア (Tannerella forsythia)
    ~歯周病原細菌の一つで、グラム陰性嫌気性菌
  2. トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)
    ~歯周病原細菌の一つで、スピロヘータの一種
  3. ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)
    ~グラム陰性短桿菌、偏性嫌気性、莢膜・線毛を有する歯周病原細菌

舌苔と歯垢からの歯科疾患病原性細菌検出の一致率



舌苔からの検出率:% 歯垢からの検出率:%
ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis) 16.3% 8.5%
タネレラ・フォーサイシア (Tannerella forsythia) 84.0% 68.9%
トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola) 11.3% 38.7%
プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia) 40.6% 18.9%
ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans) 50.9% 50.9%
ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus) 7.5% 5.7%
ストレプトコッカス・サリバリス(Streptococcus salivarius) 100.0% 100.0%



  • プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)
    ~歯周病原細菌の一つである偏性嫌気性グラム陰性桿菌=妊娠性歯肉炎の患者からよく検出される
  • ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)
    ~ミュータンス連鎖球菌=菌体内に保持する酵素群により、う蝕(虫歯)過程の反応を活性化させる
  • ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)
    ~ソブリナス連鎖球菌=う蝕(虫歯)に関連している
  • ストレプトコッカス・サリバリス(Streptococcus salivarius)
    ~唾液連鎖球菌=口腔内の唾液より分離された菌種。その病原性は時に心内膜炎を起こす。