舌苔とドライマウスと口臭

舌苔と口臭~ドライマウスによる影響




  1. ドライマウスになると、唾液が減ります。
  2. だ液が減ると、舌苔が増えます。
  3. 舌苔が増えると、口臭が強くなります。


ドライマウスになると、だ液が少なくなり、口腔環境は悪化します。
口の中の汚れが多くなり、舌苔の量が増えます。

舌苔からは、硫化水素という、揮発性硫黄化合物が発生します。
揮発性硫黄化物(きはつせいいおうかごうぶつ=VSC)

揮発性硫黄化合物(きはつせい・いおうかごうぶつ)は、生ゴミのような臭、卵や野菜が腐ったような臭い、魚が腐ったような臭いを特徴としています。

つまり、まわりの人が顔をそむけるような悪臭が、口から出てくるわけです。
ドライマウスになった人の多くが、口臭のトラブルに悩んでいます。

また、分厚くなった舌苔は、舌表面の味蕾(みらい)をブロックし、味覚異常の原因にもなります。

ドライマウス


ドライマウス=口腔乾燥症とは




ドライマウスとは、唾液(だえき)の分泌が減少して、慢性的に口の中が乾いた状態になることです。
正式には、 「口腔乾燥症:こうくうかんせんしょう」 と呼ばれています。


ドライマウスが慢性化すると、舌の表面がひび割れたり、舌や口の中の粘膜が傷ついて、痛みが止まらなくなったり、発音しにくい、喋りづらい、食べものが飲み込みにくい、味が感じにくいなどのさまざまな支障が生じます。


ドライマウスが及ぼす影響


唾液(だえき)には、抗菌作用や自浄作用など口の健康を守る働きがあるので、不足すると

  • むし歯や歯周病や口内炎にかかりやすくなる
  • 汚れが舌に付着する舌苔 (ぜったい)が増える
  • 口臭が増える
  • 味覚障害を起こす


等、健康に大きな影響を及ぼすことにつながります。


ドライマウスの自覚症状





・口の中が乾く
・口の中がねばつく
・唾液が出にくい
・水をよく飲む
・発音しにくい・話しにくい
・水分の少ない食べ物が食べにくい
・美味しく感じない
・舌が痛い
・口臭が気になる
・寝ていると口がからからになる
・入れ歯が合わなくなる
・入れ歯で口の中が傷つきやすい
・虫歯や歯周病になったり、悪化する


ドライマウスのおもな原因




  • 更年期
  • 加齢
  • ストレス
  • 生活習慣
  • 病気
  • 治療の影響
  • 薬の副作用
  • シェーグレン症候群

更年期によるドライマウス


女性に多くみられる、ドライマウスです。
更年期特有の自律神経の乱れから、だ液の分泌量が急速に減ります。

ドライマウスは、50代以降の更年期の女性に、圧倒的に多くみられます。

加齢によるドライマウス



年を取ると、身体機能が衰え、唾液(だ液)の分泌機能も低下します。
口の周りの筋肉や歯もおとろえ、咀嚼力(そしゃくりょく=食べ物をかむ力)や、咀嚼回数が減ることで、だ液の分泌量が減ります。
口で呼吸をしたり、軟らかい物ばかりを食べることで、あご周辺の筋力が低下することもあります。

ストレスによるドライマウス


ストレスや緊張が大きいと、自律神経の交感神経が強く働き、だ液の分泌が抑制されます。
20代・30代・40代の、働く女性のドライマウスは、ストレスがひとつの要因と考えられます。

生活習慣によるドライマウス



不規則な生活、噛まない食生活により、だ液の分泌が低下します。
飲酒や喫煙によっても唾液分泌が減少します。



病気によるドライマウス



糖尿病や甲状腺などの代謝障害…糖尿病や甲状腺などの病気が原因で、代謝障害が起こり、口腔内が乾燥します。



治療の影響によるドライマウス


例えば、がんの放射線治療で、だ液を分泌する組織が破壊されることもあります。



薬の副作用によるドライマウス



口が乾く副作用を生じる風邪薬や抗ヒスタミン剤、血圧降下剤、糖尿病・腎臓病などの治療薬、抗うつ剤、精神安定剤、睡眠薬、降圧剤などには、だ液の分泌量を減少させるものも多くあります。


シェーグレン症候群によるドライマウス


シェーグレン症候群のような、自己免疫疾患になると、涙やだ液の分泌量が極端に減少します。